2017.12.27

ノロウイルスを家にもちこまないためには?|ズバッと解決!<季節のお悩み相談室>

お悩み9

「去年の冬のさなか、同僚がノロウイルスの風邪にかかったらしく1週間も休みました。吐いたり下したりで、とても苦しかったという話を聞き、このところ寒さもひとしおなのでドキドキしています。私はまだかかったことがないのですが、普段の生活の中で、いったい何に気をつければ、これにかからずに済むのでしょうか?」

私が解決します!

藤原千秋
大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。

■ノロウイルスってどんなウイルス?

冬はそれでなくても寒くてしんどいうえに、いろいろな風邪が流行って嫌ですよね……。

ところで、よく「風邪」とザックリくくられている症状の多くは「ウイルス」感染によるものだということが昨今わかってきていますが、この「ノロウイルス」による症状も、ほんの一昔前まではただ「お腹にくる風邪」と言われていました。特別に「ノロウイルス」と聞くと構えてしまいますが、お腹の風邪でしたら子どもの頃にかかったこともあるかも知れませんよね。

この「ノロウイルス」、構造的に「ノンエンペロープウイルス」と呼ばれ、インフルエンザウイルスなどには有効な「熱」や「消毒用エタノール」などに対する抵抗力をもっています。つまりなかなか手強いということです。

「ノロウイルス」が人体に入り込むと、まず小腸内で増殖します。そして胃の運動神経の低下や麻痺を引き起こすため、胃がひっくり返るような嘔吐が突然始まったりするので、子どものいる家庭では「ゲリラ嘔吐」なんて呼ばれたりしています。

感染してからの潜伏期間は12〜48時間と比較的短め。主な症状は激しい嘔吐や下痢腹痛で、38度程度まで発熱する場合もあります。

でも、じつは大人では軽いムカつきや吐き気程度で症状が治まってしまうことも少なくないんです。ですから、いわゆる「不顕性感染」(特別な症状が出ない)が、逆に懸念されています。食品管理者が感染しているのに気づかず、無自覚に生活してしまうことで、大規模な食中毒の原因となったりしてしまうこともあるからです。

かかった当初は地獄の苦しみでも、適切に休んでいれば5〜6日で回復することが多いのですが、残念ながら有効な抗ウイルス薬もワクチンもありませんので、かかったら脱水しないように気をつけ、脱水が心配な場合には医療期間で点滴を行うなどの対症療法をするしかありません。

■こんなところからウイルス感染

この厄介な「ノロウイルス」、どういったところから私たちの周りにやってくるのでしょう?

身体に入り込まれる際はほぼ「経口」です。よく「生牡蠣にあたる」のは「ノロウイルス」によるものといわれているので、「ノロ=牡蠣」と思っている方も少なくないのですが、牡蠣がウイルスを増やしている諸悪の根源というわけではありません。

「ノロウイルス」に感染した人の糞便から排出されたウイルスが、下水伝いに川〜海に至り、エサとなるプランクトンから牡蠣の体内に蓄積させてしまった「ノロウイルス」を人がまた食べて感染する、という流れですから、牡蠣にだけ注意すればいいというものではない点はぜひ覚えておいてくださいね。

ただ「ノロウイルス」は、85度以上で1分以上加熱することで、いちおう感染性はなくなると考えられています(類似のウイルスの性質からの推定)。ですので、とりあえず念のため生ものを避ける(魚介のみならず外食では生野菜なども)というのは、感染予防の一手ではあります。

でもその経口ルートには予想外のケースもあります。例えば2017年初頭に問題になった「給食の刻み海苔」がノロウイルスによる集団食中毒の感染源だった事案では、刻み海苔を製造した食品会社の担当者が「ノロウイルス」に感染していたのに、素手で海苔を扱っていたことが原因でした。

まさかパッケージ済みの、乾いた「刻み海苔」から「ノロウイルス」に感染するなんて、誰も想像できませんよね。かくして「ノロウイルス」の大変大きな特徴に乾燥や熱に強いこと、便や嘔吐によって人体の外に排出された後も長期生存するため少量のウイルスで感染・発症させる力があるということがありますが、つまるところ、その対応には相当の難しさがあるということなのです。

■とりあえず私たちにできること

「ノロウイルス」感染の予防はとても難しいという前提ですが、身近なところで以下のような場所での振る舞いに、まず注意を払ってみてはいかがでしょうか。

・家の外のすべてのトイレ(便座、ペーパーホルダー、ドアノブ)
・家の外のすべてのトイレの手洗い、エアータオルなど
・電車やバスのつり革

これらの場所は、感染している人の振る舞いによって大変な感染源となりえます。ですからトイレ内ではマスクを着用、不用意に口にウイルスを入れないよう注意したいところです。エアータオルは手に付いたウイルスを水滴伝いに飛散させますので使用しないほうが安心です。自分のハンカチやタオルを使用しましょう。

・共用の電話機(受話器)
オフィスでは唾の飛ぶ電話機(受話器)の口の近くに注意。スイッチプレート、共用PCのキーボードなどにも注意です。

・生ものの外食
牡蠣以外でもサラダなど加熱されないものに注意しましょう。

・乳幼児や高齢者のオムツ

・感染した家族がいる場合には家庭内のトイレ、あらゆるドアノブ、水栓、使用済みタオルやティッシュの始末、顔まわりの寝具、使用済み下着などこれらは本当に強力な感染源となるので、使い捨て手袋着用、マスク着用、タオルやリネンの共用禁止など、万全の体制で挑みたいところです。

前述しましたが、「ノロウイルス」には「消毒用エタノール」は効果がないため、0.1%以上の濃度の「次亜塩素酸ナトリウム溶液(塩素系漂白剤)」を用意してトイレ清掃の際に使用したり、0.02%以上の濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液でリネン類を洗濯するのが流行時のウイルスを不活化させるうえで必須です。ただ、次亜塩素酸ナトリウムは脱色性が高く、掃除の効果と及ぼす影響をよく考える必要があります。

最近では、「次亜塩素酸ナトリウム」より扱いやすい(脱色しないなど)、新しい消毒剤がいろいろと開発されているので、事前に購入しておいたり、試してみても良いのではないでしょうか。

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